駐車場経営をはじめる前に知っておきたい関連法規

更新日:2022.05.09スタッフブログ

路上に設けられた駐車スペース

空いた土地を駐車場目的で使用して収益を生み出す駐車場経営。比較的少ない投資で手頃にはじめられることから、幅広く活用されています。特別な知識や資格も必要ないところもメリットですが、関連法規についてある程度の理解が求められます。法律との関係性を無視して経営をスタートすると、思わぬ落とし穴に落ちてしまうため、気を付けましょう

駐車場でも大きく関わる法律

駐車場経営と関連法令

コインパーキング場を設けて利用者に貸し出せば、ニーズ次第で大きな収益も期待できます。アパートやマンションの経営と異なり、設備・メンテナンスに関する深い知識も必要ないため、初心者でも手頃にはじめられるところがメリット。また青空駐車場のように、おおがかりな設備投資を必要としない運営であれば、初期投資もさほどかかりません。比較的負担が軽微なことから、駐車場経営は投資家の間でも人気の不動産運用のひとつとして知られます。

とはいえ、経営をはじめるからには、最低限の法的知識が求められます。駐車場経営と関連が深い法律には、以下の様なものがあります。

  • 駐車場法
  • 駐車場法施工例
  • 駐車場法施行規則
  • 建築基準法
  • 消防法
  • 道路交通法
  • バリアフリー法
  • 道路法

自分の土地であれば、好き勝手にスペースを活用してよいというものではありません。駐車場の定義は駐車場法で決められていますし、種類によって管理方法も異なります。立体駐車場を設けるにあたっては、建築基準法の枠内で設置する必要があります。また、建物や設備がある以上は消防法と無縁ではいられません。広い土地を持っていたとしても、道路交通法との関係で駐車場として活用するのは難しいケースもあります。これら関連法規に対してある程度の理解がないと、事業スタートの段階で計画が立ちゆかなくなる恐れもでてくるのです。

駐車場に関する基本法「駐車場法」「駐車場法施行令」「駐車場法施行規則」

駐車場関連法規の基本法が、「駐車場法」「駐車場法施行令」ならびに「駐車場法施行規則」です。これらの法律を完全にマスターする必要はありませんが、法令違反を犯してしまえば経営に大きな影響がでるため、手続きに関する内容や設置基準などはしっかり把握する必要があります。

駐車場法

駐車場の定義や面積、台数に関する規則、設置物の基準や管理について定めた法律です。同法によれば、駐車場は大きく分けて「路上駐車場」と「路外駐車場」のふたつがあり、前者は「道路上一定区画内に設けられる駐車スペース」、後者を「道路の路面外に設置される自動車駐車のためのスペース」としています。いずれの駐車場も、同法で設置方法や管理方法、届出、構造物や設備の基準、料金徴収の仕組みなどの規定が設けられています。

駐車場法施行令

駐車場法施行令は、駐車場法の規定に基づき、同法を実施するために制定された政令です。同政令第二章では、路外駐車場の出入り口場内通路、駐車スペースの高さ、警報装置に関する規定が設けられています。駐車場面積が500平方メートル以上である場合は同政令に基づいて管理しなければなりません。

駐車場法施行規則

駐車場法施行規則とは、駐車場法と駐車場法施行令に基づき制定された規則です。路上駐車利用における料金の徴収方法や注意事項、または標識方法などを定めています。路上駐車場の管理規定も設けられ、第三条で「路外駐車場の供用時間に関する事項は、休業日ならびに一日における供用時間の開始および終了の時刻について定めなければならない」としています。

消防法や建築基準法、道路交通法

立体駐車場など、駐車場内に建築物を設ける場合、設置基準や建築方法などは建築基準法の規制を受けることになります。消防管理や設備の点検をする場合、対象となる法律は消防法です。道路交通法第44条では、交差点や横断歩道の5メートル以内での駐車および停車を禁止しており、近接の土地出入り口はその影響を受けるでしょう。なお、路上駐車場へのパーキングメーターの設置は、道路交通法の規定に従うことになります。

立体駐車場を設置する場合は、複数の自動車収容に適した建築物が必要です。工事の方法や設置基準、強度などは、建築基準法に則り、建築しなければなりません。法令順守を果たすためにも、同法との兼ね合いを理解しながら駐車場設営計画を進めることが大切です。

借地借家法は適用外

土地を賃貸借するかたちで駐車場経営する方もいるでしょう。その場合、借地借家法は適用されません。借地借家法はアパートやマンション、商業ビルなどの運営に適用される法律で、土地スペースの活用にとどまる場合は同法の適用対象外です。

不動産の貸主と借主の関係や、解約に関するルールなどは借地借家法によって規定されます。同法の対象外である駐車場経営では、貸主は借主に対して正当な理由なく解約を通知できるとされます。そのため、駐車場の利用において賃貸借契約を結ぶ場合は、契約書に解約に関する条項を設ける方法が一般的です。たとえば、「解約を希望する場合は、早くとも3カ月前に通告する」などの規定を設けることで、無用なトラブルを生まず、スムーズな解約手続きにつながるのです。

駐車場経営では、適用される法律と適用外の法律をしっかり把握しておくことが重要。事業をはじめる前に、関連法規の条文にざっと目を通しておくことをおすすめします。

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