「コールセンター利用者意識調査」で見る消費者ニーズ

更新日:2022.05.09コールセンター

携帯のカメラで撮影する女性

コールセンターはどのように思われているのか

消費者から各種の問い合わせを受けるコールセンターですが、いつもうまく対応できるとは限りません。「コールセンター利用者意識調査」は、コールセンターに対する消費者の不満の声などを収集し、どんな課題をコールセンターが抱えているか詳細に分析しています。そこで今回は、この調査から明らかになった問題点や利用者の特徴、消費者が通販会社に電話する理由、また通販業界におけるコールセンターの動向についてもご紹介します。

便利なシステムや丁寧な説明でも「分かりにくい」のは問題

「コールセンター利用者意識調査」は、2012年に消費者の生の声を把握することを目的に実施された調査です。過去1年間にコールセンターを利用した経験のある1,200人が対象で、インターネットを利用して行われました。
調査会社は、応募条件をクリアした対象者から、電話対応の様子とともに満足あるいは不満に感じた点などについて話を聞きました。通信販売や金融関係など一般的にコールセンターが設置されている各種業界から一定数の情報を集めた結果、幅広い意見が集まった様です。

実際に寄せられた意見は、コールセンターの運営体制から応答率、さらにオペレーターの受け答えに関することまで、多岐にわたります。運営体制に関しては、営業時間やアウトバウンドへの不満が示されました。多くの業者が導入している自動応答サービスは、「何番を押せば良いか分からない」という指摘を受けています。応答率では「待ち時間の長さ」、オペレーターの品質も「丁寧だけど分かりにくい」など、さまざまな問題点が挙げられています。

調査結果からは、コールセンターが消費者のニーズに必ずしも応えられていない実態が明らかになりました。この問題を解決するために、まず利用者の不満と向き合いながら何を期待されているか十分に把握することが不可欠といえるでしょう。

高齢者は問い合わせの手段として電話を選ぶ傾向あり

「コールセンター利用者意識調査」では、回答者の男女比を1:1に調整しているため性別による意見の偏りは生じていません。

一方、年齢構成と職業は条件設定せず、この調査における回答者の年齢分布ははっきりしています。結果は「50代以上」が全体の半数近くを占め、次いで「40代」が3割前後、「20~30代」は合計しても3割に達しません。一般的に、インターネットによる調査は回答者が若年層に集中しやすいと考えられています。この傾向を考慮すると、それでも高齢者の割合が若い年代を大きく上回ったことは、「コールセンター利用者は比較的高齢者が多い」という状況を意味していると見なして問題ないでしょう。

仲睦まじい高齢者のイラスト

この年齢分布の傾向は調査対象となった各業種において確認されており、どの業界でも高齢者は企業への連絡方法として基本的に電話を選択していると理解できます。ネット環境が整備されるなか通信手段は多様化していますが、好んで選ばれるアクセスツールは顧客の年齢によって分かれている可能性は否定できません。

回答者の職業は「給与所得者」が約4割を占め、それに次ぐ「専業主婦」でも約2割にとどまります。これらの分析結果をふまえると、コールセンターは比較的年齢の高いビジネスマンともっとも接する機会が多い職場といえるかもしれません。

通販業界のコールセンターは電話による直接対話を重視

通販事業は今後も市場規模の拡大が見込まれ、関連会社はコールセンターなど顧客との接点になる各種窓口の強化に力を注いでいます。この現状を受け、「コールセンター利用者意識調査」では「通販会社のコールセンターに電話をかけた用件」についても調べました。

その結果は「商品の注文」が約6割と過半数に及び、次いで「購入前の商品に関する問い合わせ」と「購入後、商品に関する問い合わせやクレーム」も各々約3割に届いています。その他には「通販サイトの手続き」「商品の配送」「商品のキャンセル」などについての問い合わせが電話の理由として挙げられましたが、いずれも2割に至りません。

商品購入前後の相談がある程度の割合を示した要因については、この種の用件では通販会社のコールセンターが顧客との直接対話を選ぶ傾向にあるためといわれています。荷物の配送確認などと異なり、商品案内やクレーム処理は相手の話をしっかり聞かないと適切に対処できません。コミュニケーションを深めニーズを十分に理解するため、通販会社は電話による会話が欠かせないと考えているわけです。

同時に、電話受付はリピーターの確保につながります。お客様は、オペレーターの回答に納得できれば「何か問題が起きても電話するだけで解決可能」と満足してくれるでしょう。会社への信頼感が生まれ、その人から継続的な購入を見込めるわけです。商品に関する問い合わせは「次の注文」をもたらす可能性が高いと見なされることから、多くの通販会社では電話による顧客対応が望まれています。

調査結果からは商品購入の前後ともに3~4人に1人は通販会社に電話している計算になりますが、とりわけ最近の商品に多くの問題が見つかっているわけではありません。通販会社は新規顧客の固定化を強く意識し、その手段として顧客との直接的なコミュニケーションを重視しています。通販業界のコールセンターは電話による顧客対応に積極的であり、この姿勢が商品に関する問い合わせ件数にも少なからず影響を及ぼしたといえるのです。

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